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第3回ハイリハ東京」交通事故対策勉強会
H.13/3/18(日)

被った損害の全てを賠償として、
正当にとり戻すために!
事故に遭ったら、先ず、何をすべきか!
2001年(平成13年) 3月18日(日)
講師・北原 浩一氏       
講習・相談 ;10:00〜12:30 
  懇親会・個人相談 ;12:30 〜16:00
JR飯田橋駅『セントラルプラザ』10F
「東京ボランテア市民活動センター」にて

********** 勉強会概要(第3回) **********
・・・・・・・・・・・・・勉強会レジメ・・・・・・・・・・・・・
1 脳外傷高次脳機能障害の認定について(H.13年1月、自動車保険料率算定会資料より)
 
(1) 自算会の体制について..........医師向けマニュアルほかの重要性
 (2) 当事者の立場から見たもの..........認定事例の紹介
 (3) 医師の理解について
2 交通事故解決についての考え方
 
(1) 損害賠償について(自動車保険は福祉保険ではない)
 (2) 事故の真実を知る重要性と過失割合
 (3) 弁護士の選び方..........弁護士の解任事例
3 福祉を受ける権利は誰にもある
 
(1) 障害の給付と交通事故との関係について
 (2) 障害基礎年金・障害厚生年金・障害補償年金・障害年金などについ    て
4 その他

・・・・・・・・・・・・・講義一例・・・・・・・・・・・・・

福祉的救済(補償)と損害賠償の違い
 重度障害者になった若者の場合、国民負担による福祉救済ならば、一生涯に渡り億を超える費用を受け取れる事になります。労災ならば、より手厚く労災保険から一生涯に渡り受け取れます。が、しかし、交通事故犯罪で重度障害者になった若者の場合は、国民負担などによる福祉救済ではなく、損保会社が営利事業としている自動車保険から、利息分を引かれて一生涯分を前払い一時金で受け取ることになります。この自動車保険の前払い一時金は、福祉ではないため、主張しなければ、満額は貰えず駆け引きで減らされます。初めて勉強する方々にも分かるように、又、逸失利益や介護料等習熟する事を目的に、同じ話の繰り返しもあり、話題の中に弁護士の選び方や使い方などもありました。

(1)国民障害基礎年金;障害等級1級の場合約100万円。男子25才から寿命が75才までとすると(平均余命は53年)だから、おおまかに計算すると、100万円×50年=5000万円
  障害者手当;年額18.6万円×50年=930万円(府中市の場合)

  老人介護保険;65才〜75才月額37万円の介護保険、37万円×12ケ月=444万円、10年間で444万円×10年=4440万円
∴障害基礎年金5000万円+障害者手当930万円+老人介護保険4440万円=
1億370万円(この費用負担者は国民)

(2)厚生障害年金
;25才、標準報酬月額28万円だったとして、障害等級1級の場合は、
          28万円×7.5÷1000×300×1.25=79万円=約80万、80万円×50年=4000万円
  国民障害基礎年金;約100万円。100万円×50年=5000万円
  老人介護保険;4440万円
∴厚生障害年金4000万円+国民障害基礎年金5000万円+老人介護保険4440万円=
1億3440万円(この費用負担者は雇い主と加入者)

(3)交通事故で労災保険が適応される場合は手厚い。
  労災保険年金
;障害等級1級の場合、障害1級は基礎給付日額の313日分の年金になるから、基礎給付日額1万円だとす          ると、1年で313万円の年金、50年間では313万円×50年=1億5650万円
  老人介護保険;4440万円
  退職付加給付金(某会社社員が労務出来ず退職する時付加給付される);2800万円
∴労災保険年金1億5650万円++老人介護保険4440万円+退職付加給付金2800万円=
2億2890万円(この費用負担者は雇い主)

(4)交通事故による損害賠償金

 
加害者の過失による交通事故犯罪の損害賠償金を、前払いの一時金で受け取るもので、年金ではない
∴国民に負担をかける事なく、加害者が掛けた営利事業としての損害保険より受け取る多額の場合でもせいぜい、
2億円前後。

自賠責制度と損害賠償について
 脳損傷としても、病気、事故、交通事故により日本の救済システムは入り口が違う。皆同じ様には救済してくれない。日本のこの「しくみ」の中で救済する(される)方法を考えなければならない。
 日本の自動車損害賠償責任保険(自賠責)制度は、
世界に例を見ない優れたシステムであると思う。
 これは、病気、事故、交通事故でも自損などはあてはまらない。加害者という相手がいなければあてはまらない。このシステムは交通事故被害者を救済するシステムなのであり、重度後遺障害を負って損害総額が決まり、被害者が、過失相殺した賠償金を受け取る場合、その内訳として、一定基準による自賠責保険金を受け取っているのである。
 この自賠責保険の運用益が1兆9000億円もの累積黒字になっている ・
被害者救済にあてなければ何んの制度か! 
 それでは、突然、交通事故の被害者になったらどうすればよいか?・・・
損害賠償とは、不法行為によって損なわれた損害を賠償して貰う事であるから、この損害(障害)がどれほど大変かを、自ら訴えなければ、主張しなければ、他人には分って貰えません。息子は交通事故にさえ遭わなければ、しっかり働いて税金を納め社会に貢献していたはずである。本人は人生を変えられる事もなかったし、親も家族もその介護に一生を費やされる事もなかったのである。自動車保険は、損保会社が営利を目的としてやっている事業の一つであるからして、損害をしっかり訴えなければ、その結果は被害者にとって厳しいものになります。
 
自動車保険の損害賠償の現実は大変厳しい。損保会社はプロ、被害者は保険に対して素人、示談などでは、赤子の手をひねるように、損保会社(つまりは加害者側)の都合のよいように決まってしまう事が多いのが現実である。
 
自賠責保険の被害者請求の期限は症状固定から2年である。命を救うための看病や命を保つための介護の時であっても、悲嘆と苦渋の時であっても、この期限は症状固定から2年である事を忘れてはならない。
 それと、損害を正当に取り戻すためには、
正しい適確な障害認定をもらわなくれはならない。この障害認定が損害を正当に取り戻すための判断基準になるからである。日本の国のシステムには、資格のある医師、弁護士の判断が必要になる。がしかし、医者や弁護士まかせにしないで、自ら能動的に働きかけてその人達に働いて貰う事が大切なのです。医者にとっても弁護士にとっても他人事なのですから、自ら能動的に色々な事実や証拠を示さなければ気が付いてはくれません。当事者の事は家族が一番よく知っているのだから、家族が必死に訴えなければならないのです

逸失利益について
 日本生産性本部の試算によると、大学卒が一生涯(卒業時22才〜定年時60才)に働いて手にする所得の合計は、3億2000万円だそうです(裁判をすると、裁判所は67才まで働けるとしてくれます)。
 これは、毎月貰う給料の累計ですが、仮にこの金額を前払い一時金で受け取り、金利が5%のの定期預金をして生活費を下ろして使ったとすると、一生の間には利息が加算される分、多額の金額に増加する事になるので、この利息分を差し引く(控除する)ため、
ライプニッツ係数を掛けた結果の減額された金額を逸失利益といいます。
 高金利時代ならいざ知らず、現実の今の日本は、ほとんど金利が0の低金利時代である事を考えると、
不当に多額の金利を控除され、不当に減額され、不当に少ない、1/3以下の1億円前後の逸失利益しか受け取らざるをえない事になります。 不公平な!・・・でもこれが、交通事故の今の日本の厳しい現実なのです
  
高次脳機能障害の認定システム
「かなり以前の事故で、身体障害が軽いケースでも、高次脳機能障害が重度の場合では、最重度の1級の認定(自賠法施行令の別表の1級;自賠責保険金額3000万円)が可能とも考えられます」とあります。「ハイリハ東京」の人達も乗り遅れないようにしなければならないので、この1月から認定が始まっている高次脳機能障害の認定システムについて、十分細かく皆さん達と勉強する必要があると思いました。

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 交通事故は、その人その人で全く違い、同じ事はありえません。北原氏の有益で豊富な講義内容全てをこのページに納める事は不可能です。概要にすぎません。午後の勉強会は、個人的な相談が多く、プライバシー保護のため一切掲載出来ません。

                                


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