「ハイリハ東京」高次脳機能障害の実態

 (1)半側空間無視

 社会復帰のための援助をして行く上で、一番影響が大きいといわれている症状です。自分が意識して見ている空間の片側(多くの人は左側)を見落とす障害です。したがって、見ている領域が移れば、見落とす範囲も変わっていきます。今まで見ていた領域の中のある部分を見ようとすると、その部分の半側をもまた見落とします(図1)。具体的には、左半側無視では、食事の際に左側の食べ物を食べ残す、ドアを通ろうとして左側にぶつかる、車椅子や歩いて廊下を移動していて、だんだん右側に寄っていくなどの状態がみられます。
図1
左半側無視のある人の図の模写。
(上が見本、下が模写した図)
半側と表現されるが、完全に半側ではなく印象の強い部分は残る。
(この例では左側の鳥)
図2
左半側無視のある人の見え方。
a → b → c と見る領域が移っていった時の見え方。
網掛け部分は見落とした領域。


当事者達・家族達のコメント

右脳を損傷したため、車椅子に乗りたての頃は、自分では真直ぐ動かして進んでいるつもりだったのに右側に寄ってしまい、病院の廊下の壁を擦りながら進むような感じでした。

自分では全部食べたつもりなのに、いつも病院食の左手前に置いてあるおかずを残してしまっていました。

最近、動作性を高めるリハビリのため卓球などをする時があるのですが、左側に来たボールには反応が遅れてしまいます。

左の方が見えにくいので、左から来る人など気付くのが遅い。

歩いていて(左)足下に一寸出ている物があるとそれにぶつかってしまう。

歩いている時のみ、右側に寄って行く時がある。

左脳損傷のため右半側無視(失語症特に重い)。
 *大脳は右半球と左半球の二つに分かれており、正面に向かって右半側の視覚情報は左半球へ、左半側の視覚情報は右半球へ送られています。それゆえ、左脳損傷では右視野の情報が失われやすく、右脳損傷では左視野の情報が失われやすいのです。
 ちなみに、右手足の運動−感覚は左脳がつかさどり、左手足の運動−感覚は右脳がつかさどっています。これを脳における対側支配といいます。

左側を通った人を時として気が付きません。車で助手席(国産)の場合、左側風景は完全無視です。

右半側無視があります。(失語症の人にはこのような場合があります。)

(1)半側空間無視─

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