「ハイリハ東京」高次脳機能障害の実態

 (11)症状のまとめ

 なお、これらの症状は、慣れた環境や作業においては軽減し、疲労してくると増大するなど、時間や状況により著しく変化します。置かれている環境を考え合わせながら、症状を捉えることが必要です。
 また、これまで述べてきたさまざまな症状は重複していることが多く、症状の重なり方によって障害のある人の状態は一人ひとり異なっています。

当事者達・家族達のコメント

寝不足や疲れている時は勿論、夕方になるととか、曇りとか雨とか台風が近ずいているような気圧が下がっている時なども、これらの障害の調子や具合がとても悪くなります。

リハビリや作業訓練を、今より少しでも良くなりたいものと、一生懸命に頑張ると(元気な時と比べたら1/10 以下の頑張りなのに)、損傷した脳が耐え切れないのか、痙攣などの大変な発作が起きたりして、今まで少しでも良くなってきた状態がまた前段階の状態に戻ってしまい、少しでも良くなってきた状態になるのに、また何ヶ月もかかる。これの繰り返し。

痙攣などの大変な発作は、ある日突然に起きるので、24時間、家族・介護人の目が放せない。

生きててもしょうがない、死にたいなどと、しょっちゅう言うので、心配で24時間、家族・介護人の目が放せない。

一日或いは明日のスケジュールを自分で立てられないし、または、スケジュールを決めて貰っても自分一人では実行していけないので、脳の代行をする人が常にそばに居なければならない。

高次脳機能障害によっては、何時の間にか、何処か外へ出かけて行き(当事者は元気な時のように会社に行くつもりだったりする)、帰ってこれなくなり、警察に届けて捜して貰ったりする。勿論、24時間、家族・介護人の目が放せない。本人の部屋に鍵をかけ、さらに家、窓を外から鍵をかけたりしなければなない場合もあります。

生死の境をさまよい植物状態。命の危険から脱し始める。やっと意識が戻り始めた。体が動き出した。言葉が一言、二言出始めた。1年後、車椅子で移動が出来るようになった。1年半後、つかまって何とか歩けるようになった。でも、体には麻痺が残った。頭がやられた。沢山の沢山の高次脳機能障害が残った。元気な時とは全く違って、辛い事や、悲しい事や、寂しい事が山程ある。これからどうして生きていこうか?
 でも、助かって良かった。助けて貰って良かった。死なないで良かった。生きてて良かった。きっと、きっと、生きていれば、一つでも二つでも、いや、きっと沢山の面白い事や、楽しい事や、充実感を感じることがあるに違いない。そうなりたくて、今日もリハビリを頑張る。



(11)症状のまとめ─

2 症状の分類へ戻るの指差しマーク 次への指差しマーク 3 起因疾患名へ